A社では5S活動に継続性が無く、工場長がいつも口を酸っぱくして注意したり、強化月間等を設けて5S活動の推進を行っていました。社内の5Sポスターも、躾を中心に他のSが取り巻く形で表現されています。しかし「5S活動が根付かない」、「躾がうまくいかない」、といって私のもとへ相談に来られたのです。
これまでの活動の経緯と取り組み方を聞き、ある提案を行いました。
それは「1ヶ月間、工場長は社員通用口の清掃を始業時間の1時間前から10分前まで行って下さい!」というものです。
最初は厳しい表情をされておりました。説得の末、ようやく工場長も納得して下さり1ヶ月間だけという期限付きで、行ってくれました。すると開始2週間後に工場長から電話がありました。
私は「もう止めたい」というギブアップ宣言か?と思いましたが、違いました。工場内が綺麗になってきたと言うのです。私は早速効果があったと、胸を撫で下ろしました。
そして更に2週間が過ぎました。工場長は欠かす事なく1ヶ月社員通用口の清掃を続けて下さいました。そして本格的に5S活動の改善支援に入る事にしりました。
最終的に、この工場では5S活動が継続的に行われるようになり、今では見違えるように綺麗になりました。更に生産性もupしました。中でも一番嬉しかったのは、その工場ではある意味“伝説”となっていた開かずの間と、十数年その場所に存在し、移動する事のなかった大きな棚を片付ける事が出来、スペース的に大きな余裕が出来た時です。
工場長から「ウソみたいだ! あの部屋とあの棚は、もう風景の一部と感じていたが、まさか片づける事ができるとは思わなかった。有難う!!」と大変喜ばれていた事です。この時の嬉しさは、今でも私の中に強く印象として残っています。
みなさんの工場や事務所には、既にオブジェと化している棚やモノがありませんか? 一度探してみて下さい。きっと1つはあると思います。では、なぜ?ここまで変わる事ができたのでしょう。。。
第3話では、トップがまず行動する、という重要性をお話します。