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基板の難燃化について②難燃剤について

樹脂の燃焼は、樹脂の熱分解で生じた可燃性ガスの燃焼によって生じる事が分かっています。

 

樹脂の難燃化は、気相ではラジカル反応の抑制(ハロゲン系)になり、不活性ガスによる酸素遮断(窒素化合物)が有効です。

 

固相では、炭化物やその他の無機物による断熱・遮蔽効果、発泡層による断熱効果、架橋・炭化による分解生成物の不揮発化、無機物では分解反応による吸熱、水酸化物では発生水分による効果などが利用されます。

 

 

難燃剤には次のようなものが有ります。

 

 


難燃剤の種類


①ハロゲン系難燃剤(+アンチモン系難燃剤)

目的は、ラジカル反応の抑制。

(燃焼反応で生じるラジカルを捕捉し連鎖反応を抑制)

 

これまで最もよく利用されていたが、ダイオキシンやオゾン層破壊物質が発生するという欠点がある為、現在では使用されていない。

 

【テトラブロモビスフェノールA】

最も多く利用されており、樹脂成分と化合して使用されます。

(ROHS規制外)

 

【デカブロモジフェニルエーテル】※ポリ臭化ジフェニルエーテル

PBDE類、ROHS規制の対象になっています。

臭素含有率が高いので、難燃効果が大きいのが特徴なのですが…。

また、ハロゲン系とアンチモン酸化物との併用によって、相乗効果を得る事ができ、ハロゲン系難燃剤の添加量を少なくできます。

 

②リン系難燃剤

【リン酸エステル】

赤リンが利用されます。

炭化物生成、揮発性のものはラジカル捕捉効果があります。

リン系は加熱すると、イオン性物質を生成します。

ですので、マイグレーション発生の恐れがある危険性があります。

 

③金属水酸化物系難燃剤

水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど。

吸熱反応による冷却効果、水分発生による効果、反応性生物による断熱・遮蔽効果があります。

 

④ホウ酸塩、錫酸亜鉛、Zr化合物等

吸熱反応による冷却効果、反応生成物による断熱、遮蔽効果があります。

溶融・分解温度が低すぎず・高すぎないことが要求されます。

無機化合物は、多量に添加する必要がある場合が多く、機械的性質等の劣化を招きやすいというデメリットがあります。

 

⑤Intumescent(発泡)系

断熱・遮蔽効果(発泡による表面膨張)

リン酸化合物(反応剤:ポリリン酸アンモニウム塩APPなど)と窒素化合物(発泡剤、アミノ化合物やヒドラジド)とペンタエリスリトール等(骨格)。

 

⑥窒素化合物導入

メラミン、イソシアヌレートなど。NO、NO2ガス発生。

 

⑦シリコン化合物導入

 

炭化物の生成。


まとめ


難燃化や、難燃剤にも多くの種類とメリット・デメリットがある事が分かって頂けたと思います。

 

また、難燃化による有毒ガス発生の抑制や、低発煙化が課題となっているのも注意点の一つです。