上述の環境汚染が軽減される事により、人体への有害物質混入の可能性が軽減される事は確かに効果があると思われるが、それよりも実装時などにオペレーターが鉛の金属ヒューム(鉛蒸気)を吸い込む事による害が軽減される事の方が、効果が大きいと思われる。
有鉛はんだ(63Sn37Pb)よりも、一般に鉛フリーはんだの方がコスト増となり、製造面では製造原価が大きくなるので、負担が大きくなる。
有鉛はんだを使用して実装するよりも、鉛フリーはんだを使用して実装する方が高い実装技術を要求される。詳細は後述する事とするが、簡単にいえば①共晶合金でない事、②鉛が無い為その特性を生かせない事、③一般に融点が高くなる事、等が挙げられる。
環境汚染という意味でいえば、電子部品に使用される鉛よりも(筆者の趣味で申し訳ないが)釣りに使用されるアンカー、クレーン射撃等に使用される散弾、鉛蓄電池などの方が自然環境への流出は大きい。にもかかわらず、これらは厳しい規制が無い。
また、鉛フリーはんだ合金に使用される事もあるビスマス(Bi)などは、鉛よりも有害な可能性があるとされている。
鉛フリー合金に使用される事があるインジウム(In)や亜鉛(Zn)などは、希少金属として枯渇が懸念されている。(亜鉛については20年前も“あと20年で枯渇する”とされてはいたが…)
ここ最近では、ハイブリットカーやMRI等の磁石部として使用されるジスプロシウムが最重要希少金属とされているが、鉛フリーはんだ合金に使用される金属も多く希少金属となっている為、心配される。
希少金属の詳細はJOGMEC等のHPで確認すると良いかと思う。