第4話:「みる」ことから『みえる化』

一口に「みる」と言っても、見る・観る・診る・視る・看る等、様々な“みる”が存在します。私はご依頼された工場内をみる時、場面・場面に合わせて「みる」を変えて現場を把握しようとしています。

 

さて、これまで5Sに関連した話をしてきましたので、5Sを例にします。

普段から工場内の環境に慣れていると、目が慣れてしまってイザ「みる」と言っても、何が必要で何が不要か?分からなくなってしまう事が多いようです。私のような外部の人間は目が工場内環境に慣れていない分、要・不要の判断は付きやすいと思います。そういった意味では、私のような外部のコンサルタントに診断してもらうというのも一つの方法かと思いますが、社内だけで出来ない事はありません。上述の「みる」の意味を考えながら、工場内を診断してみてください。

 

昨年末ある工場の簡易監査を行った(工程管理や品質管理を含めた総合的な監査)のですが、かなり衝撃的な事を聞きました。以前、他のコンサルタントに監査を依頼されたようですが・・・

「とにかく5Sを推進しなさい!」

と、具体的なアドバイスよりも整理整頓等のダメ出しに終始していた、との事でした。前述したように外部の人間で工場監査を数回行った経験がある人であれば、5S的に要・不要の判断は容易に付くのです。コンサルタントは、ソリューションする必要があるので分かり切った事を言うだけではダメなのです。

私は監督者からの作業指示と作業者の反応を観たり、作業者の頭上から天井までに存在するものや空調設備の位置関係を視たり、作業者の動線と製品の流れを診たり、様々な観点から診断し処置をします。すなわちあらゆるムダを取り除いていくのです。私見ですが、5Sも突き詰めていくとムダ取りと考えています。ムダ取りに関しては、いづれコラムとして紹介していきます。

さて様々な「みる」が存在し使い処も様々なわけですが、前述したように使いこなす為にはまず、慣れた目をどうにかしなければなりません。そこで簡単な事例をひとつ。工場では、毎日決まった時間に清掃時間を設けて実行している事が殆どですよね!? 多くの方が、モップやホウキ、ぞうきんを手に清掃を行っているのですが、決まった時間内掃除を行うといった感じで、イマイチ綺麗にしよう!といった感じが無いのが現状ではないですか? まぁ毎日の事ですので、清掃タイムそのものに慣れてしまっているといったところでしょうか。。

そこで私は、各工程の作業チーム毎に清掃する場所を決めました。といっても、そんなのは元から決まっているだろ!と反論がありそうなので、補足します。床や壁など場所はどこでも良いのですが、例えば床がタイル調であれば、今日はこの1枚だけを徹底的に綺麗にする!というように1点集中して清掃するように変えたのです。日を重ねる毎にとても綺麗なタイルが増えていきますよね!? すると清掃していない箇所との差が明確になります。重要なのはコレなんです!

隣の芝生は青い!とよく言いますが、重要なのは「隣の芝生は青いのに、なぜウチは黄色いのだろう?」と気付く事なんです。比較対象があって初めて『みえる化』になるわけですね。